要と天音のテニス対決(第22話「決闘」より)

光莉に言われたとおり、天音に正々堂々と勝負を申し込む要。
自分が得意なテニスで勝負を申し込むのは
あまり正々堂々としていない気もするが、気にしてはいけない。

以下、要の台詞は黒文字、天音の台詞は青文字


要有利・・・かと思いきや勝負は互角。



「ハッ!なかなかやるじゃないか!それでこそ天音だ!」

「そろそろ教えてくれないか?いったい何の勝負かを!」

「私は君が嫌いだ!」

「君の気持ちは知っているよ!」

「いや知らないさ!君はいつも私の上を行く!常に私は君に負けている!」

「そんなことはないだろう!」

「ある!あるんだよ天音!君は気付いていないかもしれないが、
スピカに入学してから、私は一度たりとも君に勝ったと思ったことがない!
君が嫌いだ。君に勝ちたかった。君の持っているものを奪いたかった。
奪って君に負けの味を教えてやりたかった。だから光莉も奪おうとした!
君に勝ちたかったんだ!」


周囲にはいつのまにかギャラリーが出来始める。
その中には桃実の姿も。桃実はこの勝負のことを知らなかった。



「天音!なぜエトワール選に出ない!」

「興味がない!」

「それだけか!」

「誰かの上に立つようなこともしたくない!」


「笑止!!」





「君はエトワール選に出なければならないんだ! You are the chosen one! 
君は選ばれし者だ!選ばれし者には宿命がある!」

「宿命・・・?」

「見るがいい天音!彼女達の熱い眼差し・・・私に向けられている物も、もちろんある!
だがそれ以上に、君に向けられているんだ!」

「私なんかに・・・」

「スターなんだ!私という星を軽く凌駕するほどの。君はスターだ!
スターは期待にこたえなくてはならない!彼女達は、君がエトワール選に出ることを望んでいる!
エトワールになってほしいと望んでいる!」

「私はエトワールには興味がない」

「君のためじゃない!彼女達のためだ!彼女達は君に夢を見ている。
君が彼女達の憧れ、勇気、生きる力だ!たくさんの人のために、君は立つんだ!」

「たくさんの人のために・・」

「そしてそれは彼女達の胸を熱くする。熱く出来るのは君だからだ、天音! (そして、私の胸も熱くなる…)」


(要、あなた・・・ ずっと、ずっと天音のことを・・・?)



「しかしどうして君が・・・」

「フッ、まったく・・・。だから君のこと嫌いさ!光莉も苦労するな!
エトワール選に出るんだ!天音!頼む!」

「(自分のためではなく、大勢の人のために・・・ 光莉のために・・・) 私は!」

 

 勝負は天音の勝ちで終わる。

テニスコートを去る要。

「やはり私は、君には勝てないらしい。私の負けだ。見事だった」
「要、出るよ。エトワール選。」
「それこそが、私が見たかった姿だよ、天音。」」




帰り道、桃実は泣きながら要の頬を叩く。

   「すまない、桃実・・・」


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