絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌-

 ストーリー

海に浮かぶ大都市、セントラルアイランド。
春からここで大学生活を送ることになった牧村里奈は、
島へと向かうバスの中で新たな生活に思いを馳せる。

しかしそのとき、突如として巨大地震が発生。
次々に崩壊していくビル群、海へと沈んでいく大地、そして逃げ惑う人々。
里奈は、果たしてこの大災害から生き残ることができるのか・・・?

 作品概要

大規模自然災害からの生き残りをテーマにしたアクションアドベンチャーゲーム、
「絶体絶命都市」シリーズの3作目。
プレイヤーは香坂直希(男性)か牧村里奈(女性)のどちらかを選び、
崩壊していくセントラルアイランドからの脱出を試みることになります。

防災・危機ジャーナリストの渡辺実さんが監修を手がけており、
ゲーム中で災害に遭遇したり、役に立つ道具を発見したりするたびに
「災害マニュアル」という形で実践的な知識を閲覧することができます。

・・・と書くとなんだかお堅いゲームのようですが、
ゲーム中の選択肢に毎回悪ふざけとしか思えないようなものがあったり、
なぜか道中に主人公用のコスプレグッズ(メイド服とかもあり)が
やたらと落ちていたりと、シュールなバカゲーとしての側面も持っています。

 百合ポイント

本作には2人のヒロインが登場し、
主人公の行動によってそれぞれ好感度が変化します。
これは男性主人公はもちろん、女性主人公の場合も同様です。
ここでは女性主人公でプレイした場合の百合展開について紹介します。

本条 咲

咲は主人公が避難中に最初に出会う女性で、
サブタイトルにある「彼女の歌」とは咲の歌のことを指しています。

彼女と最初に会った際の主人公の反応は
プレイヤーが選択することができるのですが、選択肢の中に
す、ステキなお姉さま・・・ と放心してつぶやく
という明らかに狙ったものがあり、この後もこの手の選択肢が毎回のように表示されます。
他キャラに対して、自分と咲は恋人だと勝手に紹介することもできます。

一見、大量に用意されているギャグ系選択肢の一種のようにも思えますが、
そういうのとは違ってちゃんと好感度が上がっているようです。
つまりは咲のほうも悪い気はしていないのでしょう。

そして終盤主人公が危機に陥った際には、
「咲さーん!今だから言えるけど、愛してるわーっ!」という選択肢が登場。
これを聞いた咲は最初は冗談だと思ったようですが、
続けて「私は本気なんです!」という選択肢で追いうちをかけることができます。
これを聞いて咲はやっと主人公が真剣だということを知りますが、
このシーンでは主人公がピンチでそれどころではないため、とりあえず答えは保留。
話の続きは後で聞くということになるのですが・・・実はその後とくに進展はありません。

いろいろ試してみたのですが、
どうやら女主人公では咲と恋人になれる展開はないようです。
百合系の選択肢こそ毎回出るものの、咲に冗談として受けとられることが多いので、
あまり相思相愛という雰囲気にはならないのが残念です。
お互いに大切な仲間であり好きなことには違いないのですが、
恋愛的な意味とはちょっと違うのかもしれません。

羽月彩水 (はづき あやみ)

咲とならぶもう1人のヒロイン。
登場が咲より遅く、その後もたまに仲間から離脱するため、出番はやや少なくなりますが、
それでもストーリー上で重要な役割を持っているキャラです。

彩水と主人公が初めて会った際の選択肢には
「可愛い子ね・・・ と羽月を熱っぽく見つめる」というものがあり、
その後も咲と同様に毎回百合系の選択肢が出ます。
主人公のこの手の発言を半分冗談として受け取っていた咲と比べると、
彩水は少し照れながらもまんざらでもなさそうな反応を返してくれるのがポイント。

普通にやっていると、咲と同じく大切な仲間といった程度の関係で終わるのですが、
実は彩水には咲と違って明確に恋人になれる展開が存在します。
そのためには中盤、彩水が主人公に悩みを打ち明けるイベントを起こす必要があり、
これが結構条件が厳しいので苦労させられます。

とにかくこのイベントによって彩水はすっかり主人公に心を開き、
主人公に言われるままに恋人となり、主人公を「お姉さま」と呼ぶようになります。
一応、お姉さまと呼ぶのは2人っきりの時だけという約束なのですが、
主人公が危機に陥るなどするとつい人前で「お姉さま!」と呼んでしまう場面もあります。

彩水は大人しい性格という設定上、普段は抑えたトーンで喋っているキャラなのですが、
主人公と恋人になった後は
明らかに他とは違う熱のこもった声で話しかけてくれるようになります。
このへんからも主人公との関係の変化が伺えます。

その後も2人はとにかくイチャイチャしており、
すっかり蚊帳の外な咲が思わず突っ込みを入れたり、すねてしまったりするほどです。

最終的には主人公は彩水を「一生大切にするわ」と宣言し、
彩水も「私も・・・一生ついていきます・・・」答えるほどの仲になります。
そしてエピローグでヒロインから手紙が届くシーン(ここ自体はどのルートにもある)では
差出人の名前が「あなたの妹 彩水」となっているなど、細かい部分も変化しています。


ただ残念なのは、大筋のストーリー自体は
攻略ヒロインや好感度に関わらず1つだということです。
咲や彩水の好感度がどの程度であれ、イベント中の会話が変化する程度で、
シナリオが分岐するようなことはありません。
一応エンディングだけは4種類ありますが、
最後がちょっと差し替えられる程度で大差ありません。

ストーリー自体は、主人公とヒロインがどういう関係であっても
矛盾しないような無難な物になってはいるのですが、
このあたりは個人的にはちょっと寂しいところです。

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