ソルフェージュ〜Sweet harmony〜

 あらすじ

親の仕事の都合で外国で暮らしていた宮藤かぐらは、
3年ぶりに帰国し、伝統あるお嬢様学校・桜立舎学苑に入学する。

かぐらはそこで、大好きな先輩であり幼馴染の高屋すくねと久しぶりに再会するが、
すくねはなぜか初対面のような態度をとる。

すくねの思わぬ反応に戸惑いながらも、健気にすくねとの絆を取り戻そうとするかぐら。
そんな中、かぐらは学苑の音楽コンクールに
なぜかデュエット部門でエントリーされてしまい・・・。

 みどころ

工画堂スタジオのミュージックアクションシリーズ第5作「ソルフェージュ」に、
多くの追加要素を加えてPSPに移植した作品。
基本的にはアドベンチャーゲームですが、
要所要所でミュージックアクションパート(いわゆる音ゲー)が挿入されます。

舞台が音楽系の学校であり、ストーリーも一応音楽ものですが、
「フォルテール」(魔力を持つ者のみが扱える、心で弾く魔導楽器らしい)
という架空の楽器がストーリーの中心になっています。
そのため現実の音楽の知識がなくても話についていける一方、
本格的な音楽描写を期待している人には物足りないかもしれません。

このページではPSP版を紹介しますが、その後PCで
さらなる要素を追加した完全版「ソルフェージュ 〜La finale〜」も発売されています。

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 百合ポイント

ストーリーは大きく分けて
前半(PC版相当部分)と後半(PSP版追加部分)に分かれています。
前半は、音楽コンクールにデュエット部門でエントリーされてしまったかぐらが、
パートナーを求めて奔走するというストーリーです。
後半は前半で決めたパートナーとのその後のお話になっており、
かぐらを慕う下級生2人が登場したことで、かぐらとパートナーとの関係にも変化が訪れます。

高屋すくね & ゆうな

「わたくしの全てを…受け止めなさい」

すくねはプロローグ時点でのかぐらの想い人で、この作品のメインヒロインです。
一方、ゆうなはかぐらが偶然出会ったストリートミュージシャンで、
セッションをきっかけに意気投合して親しい間柄になります。
すくねとゆうなは顔と声が同じなので
2人が何か関係あることはプレイヤーには想像がつくのですが、
真実はストーリー後半で正体が明らかになります。

なんと・・・というかやっぱりというか、ゆうなはすくねのもう1つの人格でした。
凄いのは二重人格になってしまった理由で、簡単に言うと、
大好きなかぐらと離れ離れになったのがつらかったというもの。

2人が離れ離れになったのはかぐらの親の仕事の都合なのですが、
これは実はすくねの親族の差し金で、
まるで恋人のように仲の良すぎる2人の将来を心配してのことだったようです。
周囲をそこまで心配させるほどの仲って一体・・・。

ストーリー前半(PC版相当部分)では、コンクールでのセッションを通して
すくねが記憶と人格を取り戻すまでが描かれます。
この時点でかぐらとの絆も取り戻し、最後にはキスをしています。

後半ではすっかり熱々で、
何かいいことがあるたびに「ご褒美」などといってしょっちゅうキスする間柄。
一応お互いに「姉妹」と認識しているようですが、どうみても恋人どうしです。
かぐやを慕う下級生コンビの出現に、「浮気」を疑われる一幕も?

幸村ちほ

「ちほちゃん、大好き。
 ちほちゃんがわたしを思ってくれる気持ちと同じ気持ちで、大好き。」

かぐらの親友。
どのルートでも、かぐらのパートナー探しに奔走してくれますが、
ちほ本人のルートではかぐらを助けたい一心で自らパートナーになってくれます。
フォルテールは魔力を持った人間しか弾くことができず、
当初ちほには魔力がないとされていたのですが、
かぐらを助けたい気持ちがちほの魔力を目覚めさせたようです。

ストーリー前半では時々思わせぶりな態度を取りつつも、
かぐらの鈍感さもあってあくまで親友として振舞っています。
しかし、後半ではかぐらに対してそれ以上の感情を抱いていたことが明らかになり、
かぐらが自分をあくまで親友としてしか見てくれないことに悩んだり、
下級生コンビとかぐらの取り合いになる場面も見られます。
好きな気持ちを抑えてずっとそばにいることがつらかったと、
かぐらに告白するシーンが印象的です。

ノーマルENDではかぐらの態度がはっきりしないままですが、
下級生2人も交えて賑やかで楽しそうな雰囲気になっており、
こちらのエンディングも悪くないと思います。。
トゥルーENDでは、自分の気持ちをはっきり自覚したかぐらが、
ちほの頬にキスをします。

天野まり

「わたし、まり先輩が大好きです!」
「…馬鹿ね、知ってるわよ、そんなこと」

生徒会の嫌味で意地悪な先輩…といった第一印象のキャラで、
かぐらによく嫌味を言うため、ちほから非常に嫌われいます。
しかし実はかぐらのことを気にかけており、きつく当たるのもかぐらに期待してのこと。
実はかぐらをコンクールに推薦したのはまりなので、
ストーリー(の前半)の影の仕掛け人ともいえます。

まりルートではかぐらもまりの真意を知り、親しくなるのですが、
まりを嫌っているちほとかぐらの仲が険悪になってしまう一幕もあります。

まりは人とあまり親しくすることに慣れていないのか、
かぐらとの付き合い方は不器用な面が見られるものの、
ストーリーが進むにつれ少しずつ変化を見せていきます。
かぐらが他の女の子と仲良くするのを見てヤキモチを焼いたり、
後半ではかぐらの提案を聞いて眼鏡をコンタクトに変えてみたり・・・。

最終的には、かぐらからの告白に応え、
大好きという言葉とともに頬にキスしてくれます。

ちなみに、メインヒロインで二重人格という特徴的な設定のわりに
他ルートでは影の薄いすくねですが、このまりルートではそれなりに出番があります。
特にすくねの卒業の場面が印象的で、
かぐらはあんなに慕っていたすくねに別れを告げ、
すくねはかぐらのことを妹としてまりに託して学苑を去っていきます。

二条院琴美

「あの星に賭けて、琴美さんを大事にするね!」

かぐらのクラスメイトで、ちほのルームメイトでもある女の子。
友達思いな優しい性格で、他のルートでもさりげなくかぐらを助けてくれることが多いです。
生徒会の先輩であるまりと親しいという設定のためか、
琴美ルートはまりルート序盤からの分岐という形になっており、
琴美が実はフォルテールを弾けることが(やや唐突に)判明してパートナーになってくれます。

このシナリオでは、かぐらは琴美をパートナーに選びはするものの、
練習不足のためにその年は結局コンクールを辞退することになります。
また、次の年も琴美が手を怪我して出場が危ぶまれるなど、
他のルートとは少し展開の違うストーリーとなっています。

音楽を通して、2人のお互いへの気持ちが
友情からそれ以上のものへと変わっていく様子が、
(このゲームのシナリオの中では)比較的丁寧に描かれており、面白い内容だと思います。

琴美はなにげにキス描写が充実しており、
お互いの怪我が早く治るように、おまじないとして
琴美はかぐらの足にキスし、かぐらは琴美の手にキスをしています。
どちらもイベントCG付きです。

エンディングでは、お互いの好意を確かめ合いながら、
抱き合って唇でキスをしています。
他ヒロインのキスシーンが頬にであったり
パートナーとしての親愛の表現だと解釈する余地があったりするのと比べると、
かなり強い愛情を表現しているのではないでしょうか。

ちなみに、このルートではまりが琴美を妹のように可愛がっている面が強調されており、
琴美のパートナーであるかぐらのこともいつの間にか妹扱いしてきます。
かぐらに対してちょくちょくツンデレ的な面を見せるなど、
まり本人のルート以上にまりが生き生きとして描かれている気がします。

二波織歌 & 上月未羽

「わたしのほうが先輩のこと、大好きなんだからーっ!」
「そんなことない、わたしのほうが先輩のことを慕っているわ」

かぐらを慕う下級生2人組。
織歌は天才フォルテール奏者と評される特待生で、落ち着いた感じの女の子。
未羽は歌が得意で、織歌とは対照的にうるさいくらいに元気な子です。
2人とも、かぐらが奏でるフォルテールの不思議な魅力に惹かれ、
いわばかぐら目当てでこの学苑に入学したという設定。

2人は他ヒロインのルートではストーリーの後半にあたる2年目から登場し、
かぐら大好きをアピールするのですが、
すでにかぐらはパートナーと強い絆で結ばれた後。
そのため、織歌と未羽のシナリオ上の役割は
かぐらがパートナーとの絆をより深めるためのスパイスといった感じに落ち着いています。

もちろん織歌と未羽が報われるシナリオも用意されており、
こちらは1年目でかぐらが誰ともパートナーにならなかったという前提で始まります。
選択肢によって、仲良しルート・織歌ルート・未羽ルートに分岐しますが、
織歌ルートも未羽ルートも明確な恋愛路線にはなっておらず、
かぐらにとっての可愛い後輩くらいの感じで終わります。
かぐらに対するアピールもやや大人しく、
正直、2人とも他ヒロインのルートの時のほうが元気だったような気も。

個人的には、織歌と未羽がかぐらを取り合って張り合いつつも
わいわい楽しそうにしている仲良しルートが一番好きです。
みんなで一緒にプールに遊びに行ったり、
コンクールで異例の3人でのセッションを披露したりと、
他のルートにはない展開が楽しめます。
最後は織歌と未羽が、どちらがよりかぐらを好きか競いつつも、
お互い抜け駆けはしないことを誓うという、友情を感じさせるものになっています。

 ゲームとしての感想

ほとんどのヒロインのシナリオで恋愛と呼べるレベルの描写があり、
百合的には非常に楽しめるこの作品ですが、
ゲームとしてはシナリオの出来含め微妙な点がいくつか見られます。
そのあたりのゲームとしての感想を別ページにまとめてみました。

◆「ソルフェージュ〜Sweet harmony〜」をプレイしての感想


最終更新:2011/4/20
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