あらすじ |
ひきこもり気味だった少女・かなえが外に出るようになってから約一ヶ月。
かなえにそのきっかけを与えたのは、
自らのサイト上でのみ曲を発表している神秘的な歌姫・ヒナだった。
不思議な魅力を持ったその歌声は、いつもかなえに勇気を与えていた。
そんなある日、かなえは街で偶然にもヒナ本人と出会う。
突然のことに舞い上がり、勢いで「大好きです」と言ってしまうかなえ。
ヒナはそんなかなえに興味を持ち、2人はときどき友達として会うようになる。
そして2人は、次第に互いに影響を与えあう存在になっていく。
みどころ |
雑誌「百合姉妹」「百合姫」で連載されていた作品。
2人の少女の爽やかな友情物語という感じです。
最初はかなえがヒナに一方的な憧れを抱いていましたが、
だんだんヒナの中でもかなえの存在が大きくなっていきます。
ヒナも過去のある出来事がきっかけで心に傷を抱えており、
かなえの中にある影に自分を見ていたようです。
最終的には、2人はそれぞれ自分の過去を克服し、
外の世界に出て行くことになります。
お互いに良い影響を与え合う関係というのは良いですね。
なお、百合姫掲載作品の中では比較的恋愛描写は薄めで、
どちらかというと強い友情や信頼関係の範囲だと思います。
作者自身、「百合雑誌なのに限りなく百合から遠い」と
あとがきでコメントしています(実際そんなに遠くはないですが・・・)。
しかし、主人公2人の心のやりとりがとても繊細に描かれており、
女の子どうしの強い絆を感じさせる作品です。
キスのような直接的なシーンこそありませんが、
「大好き」だと言い合ったりする2人の姿は十分に百合っぽいと思います。
なおコミックには、ひるちゃん(ヒナをプロデュースしている女性ミュージシャン)と
ヒナの出会いを描いたエピソード「歌の翼に」が描きおろされています。
また、初期の「百合姉妹」に掲載された読みきり「とくべつなひと」「とびら」も収録。