あらすじ |
売れないアイドルをしていた宮下雪乃は、
引退して田舎に帰るが、地元の高校にもなじめず、
今は1人上京して無気力な日々を送っている。
そんなある日、
コインランドリーで出会った年上の女性・節子に雪乃は心惹かれていき・・・。
みどころ |
モノローグや回想を多用した雪乃の内面描写が印象的な作品。
孤独感やコンプレックス、嫉妬など、
やや暗くて重い感情が描写されることが多く、
読んでいるとちょっと憂鬱な気持ちになってしまいますが、
節子と出会ったことにより雪乃の内面にどういう変化が現われるのかがみどころ。
百合ポイント |
ストーリーは基本的に雪乃と節子の恋愛を軸に展開していきます。
雪乃・節子
雪乃と節子はお互いにほぼ一目惚れのような関係で、
雪乃は綺麗で優しいお姉さんな節子に出会ってすぐ心を許しますし、
節子のほうも雪乃のことが気になっていたようです。
というわけでかなりすんなり恋愛関係になり、2話目には早くも肉体関係を持つなど、
節子に流されている部分もあるとはいえかなり早い展開です。
しかしそのまま幸せな時間がずっと続くわけではなく、
雪乃が冷静に2人の関係を考えなおすことがあったり、
節子に男性経験があることを知って複雑な思いを抱く場面もあります。
女の子どうしの恋が成就するまでのストーリーというよりは、
恋人となった2人の、その後の揺れる気持ちに焦点が置かれています。
雪乃がまだまだ子どもっぽく精神的に不安定な部分あるのに対して、
節子は基本的には多少のことには動じない落ち着いた大人の女性です。
ですが、節子もまた弱い部分を持っており、
特に雪乃のことになると感情を剥き出しにし、涙を流すこともあります。
根本的には、お互いになくてはならない、
精神的に依存しあった関係であるように思います。
お互いに出会ったことによって、これまでの自分とどう向き合い、
そしてこれからどのように変わっていくのか。
恋愛を通して、そういう2人の生き方や人生観を描いた作品という側面も持っています。
しおり
雪乃は昔アイドルをしていた関係で
現在は芸能事務所でマネージャーをしているのですが、
ストーリー後半、雪乃は新人アイドルのしおりという子を担当することになります。
実はしおりは女の人しか好きになれない同性愛者で、
同類であることを見抜いたうえで雪乃に告白してくるのですが、
雪乃はすでに節子と付きあっていることを伝えてお断りします。
その後はしおりも雪乃に必要以上に絡むようなことはしなくなり、
雪乃が節子との関係に悩んでいる時には相談に乗ってくれるなど、
雪乃のことが好きなだけあって良き理解者のような一面を見せるようになります。
ですが、終盤再び雪乃に迫り始め、
雪乃に拒まれると今度は雪乃の人格を批判するなどしたため、
最終的に2人はちょっと険悪な雰囲気になってしまいます。
相手の幸せを考えず自分の気持ちを押し通そうとするわがままな性格にも、
あえてそうすることで雪乃に何かを伝えたかったようにも見えるのですが、
いずれにせよしおりが雪乃へ向けた言葉は雪乃の本質を言い当てていることが多く、
雪乃が自分自身を見つめなおすきかっけを与えています。
その他
この作品は女性同士の恋愛をテーマとしている作品としては
男性の出番が比較的多く、恋愛面にも絡んでくるので、
そういう展開を望まない人はハラハラされられる場面が多いと思われます。
特に、序盤の節子による「雪乃も男とセックスしてきていいよ」という発言が
後に(これだけが原因とは言えないにせよ)かなり不穏な展開を引き起こしているので、
このあたりの話は読んでいてつらいかもしれません。
とはいえ、これらはあくまでストーリーの途中の出来事であり、
全体としてはあくまで雪乃と節子の恋が物語の本筋です。
いろいろなことを乗り越えて絆を強くしていく2人を見守っていきたくなる作品です。
最終更新:2011/1/26