作品概要 |
「GIRL FRIENDS」などでおなじみの、森永みるくさんの作品集。
女子高を舞台に、女の子どうしの淡い恋模様をオムニバスで描いています。
爽やかな恋愛ものから、微笑ましいラブコメ、
さらには秘めた切ない恋を綴った作品まで、バラエティ豊かな作品が収録されています。
基本的に毎回主人公を変えた一話完結のお話ですが、
それぞれ世界観を共有しており、
登場人物間にエピソードを超えたつながりが見られることもあります。
ともだちじゃなくても。 〜奈々と瞳〜 |
奈々と瞳は、第1話「ともだちじゃなくても。」の主人公です。
この2人のお話は収録作品の中で唯一続編が執筆されて長編となっており、
コミックの表紙にもなっているなど、シリーズを象徴する存在となっています。
幼馴染だったものの、高校は別々になってしまった奈々と瞳。
離れ離れの時間が増えてしまった2人は、
ずっと一緒にいた頃には気付かないふりをしていた、
お互いに対する友情を超えた感情を自覚することになります。
そして偶然再会した日、ついに互いの本当の気持ちを伝え合い、
結ばれるところから2人の物語は始まります。
晴れて恋人となり、何度も唇と体を重ねながら、
学校のこと、周囲の目のこと、そして将来のことなど、
現実の様々な問題とともに向き合っていく奈々と瞳。
この作品はそんな2人の姿を、時に微笑ましく、時にシリアスに描いています。
クライマックスでは、ある事情により
2人は家も学校も放り出してちょっとした逃避行に出ることになります。
そこで2人が考え、最後に出した答えとは・・・?
連載経緯
実はこの奈々と瞳のストーリー、完結までにちょっと複雑な経緯を辿っています。
まず2003年に一迅社の「百合姉妹」で最初のエピソードが掲載され、
その後別のキャラクターのお話をいくつか挟んだ後、
後継誌の「百合姫」で続きの連載が始まりました。
しかし何があったのか2006年を最後に連載が中断。
その後長らく未完となっていました。
そして2011年になって双葉社の「コミックハイ!」で連載が再会。
奈々と瞳のストーリーの続きが数回に渡って掲載され、
2012年には全てのエピソードを収録した完全版が全2巻で発売されました。
連載開始から実に9年をかけて完結した2人のストーリーを、
森永さんの絵の変化なども含めてじっくり楽しんで欲しいです。
その他の収録作品 |
元々は1話ごとにキャラクターを変えたオムニバスという形式をとっていたため、
奈々と瞳のお話以外にも様々なエピソードが収録されています。
天国に一番近い夏。
幽霊少女の加藤さんは、見えないことをいいことに、
擁護教諭をしているかつての親友・小松さんを見守り続ける日々を送っています。
そんなある日、保健室を訪れた生徒の体に偶然憑依してしまい、
小松さんに触れられるようになったことで、
加藤さんの胸にあの頃の懐かしい思い出が蘇りはじめます。
収録作の中でもちょっと異色のファンタジーです。
微笑ましい雰囲気ながらも、最後はちょっと切ない感じ。
ちなみにバスケの試合のシーンの背景に瞳と奈々がいます。
キスと恋と王子様
演劇部の文化祭公園でヒロイン役を演じることになった安倍さんが主人公。
相手役が憧れの橘先輩ということもあって緊張していると、
練習のはずが橘先輩に本当にキスされてしまい・・・。
こちらは明るいラブコメ調。
ちなみにこのエピソードの主人公である安倍さんは奈々のクラスメイトで、
奈々と瞳のお話にもちょくちょく登場しています。
いつかのこのこい。
内気な少女・千里は、一年生の頃からずっと、
同級生の水城さんのことが気になって仕方がありません。
でも一歩踏み出して距離を縮める勇気もなく、しかも水城は彼氏がいる身。
千里の恋は報われないまま続いていきます。
友情ものとして見るなら救いがあるものの、
恋愛ものとしては完全な片思いで、収録作の中でも特に切ない作品です。
余談ですが、主人公の2人が
当時人気だったプ○キュア(初代)に似ていると一部でちょっとした噂に。
くちびるにチェリー
怪我でフルートをやめた絵里と、その親友のちはる。
ちはるは絵里に友達以上の想いを抱きながらも、
現在の関係を壊すのを恐れて一歩を踏み出さないようにしています。
でもそんなちはるにも、やがて勇気を出して本当の気持ちを伝える時が訪れます。
結末はちょっとぼかされていますが、
この2人ならきっと上手く行った・・・はず。
ホントのキモチ。
主人公は文芸部に所属するの物静かな女の子。
そんな彼女が、ある日突然、
ある意味正反対ともいえる綺麗で可愛い後輩から告白されてしまいます。
そして流されるままにお付き合いを始めるのですが・・・。
ちょっと地味な先輩を過剰に慕う可愛い後輩・・・という、
森永さんの後の作品「ひみつのレシピ」をちょっと彷彿とさせるカップルです。
こちらは舞台が文芸部なのでそのあたりもちょっとストーリーに関わってきます。
なおこれらの1話完結のエピソードは、
一迅社版の単行本には1冊にすべて収録されていますが、
双葉社による完全版のほうでは連載時と若干順番を入れ替えたうえで
1巻と2巻に分割されて収録されています。
最終更新:2012/4/15