あらすじ
内気な女の子・森谷美鈴には、3分間だけ時間を止められる能力があった。
といってもその力の使い道は、ときどき気まぐれに周囲の人間観察をする程度。
しかしある日、止まった時間の中でなぜかクラスメイトの村上さんだけが動き出してしまう。
能力の秘密を知られてしまった美鈴は、ときどき村上さんのお願いを聞いてあげるようになり、
次第に2人は仲良くなっていく。
そしていつしか、村上さんに特別な気持ちを抱いている自分に気づく美鈴。
それを察した村上さんは、恋人になろうと美鈴に言うのだが・・・。
作品概要
時間を止める能力を持った女の子を主人公にしたファンタジー。
出版社公式サイトでのキャッチコピーは、「私と一緒に罪を犯して。時間停止×百合ストーリー。」
時間を止める能力自体はSFの定番の1つといってもいいと思いますが、
時間の止まった世界を内気な主人公の内面世界と重ね合わせることで、
魅力的な青春ストーリーとなっています。
百合ポイント
ヒロインの村上さんは、成績優秀・容姿端麗なクラスの人気者ながらも、
美鈴に対してはなぜか不可解な行動をとるミステリアスな少女です。
彼女にのみ美鈴の時間停止が効かなかったことで、
美鈴と村上さんは2人だけの世界を共有することになります。
時間停止が効かない理由は当初は不明だったものの、
村上さん本人の推測によれば、
美鈴が村上さんとなら同じ時間を共有したいと思ったから──つまり、好きだから。
実際、物語が進むにつれて美鈴は村上さんに強く惹かれていき、
村上さんが他の女の子と話しているのを見ただけで嫉妬してしまうほどになります。
コミック第1巻の時点で美鈴は恋愛感情を自覚しており、
モノローグでもはっきりと「村上さんが好き」と語っています。
そして村上さんのほうも美鈴からの特別な気持ちに気づいており、
それに応じるように「付き合おっか」と提案。
その後はキスをしたり、あるいはそれ以上のことに美鈴を誘うなど、かなり積極的です。
一見相思相愛に見える2人ですが、村上さんの真意をつかみきれない美鈴は、
今でもちょっと不安に襲われることがあるようです。
果たして村上さんは本当に美鈴のことが好きなのか、それとも他に何か目的が──？
コミックが第2巻に差し掛かる頃には、美鈴の時間停止能力が少しずつ弱まり始めます。
そしてそれは、必然的に2人の関係に転機をもたらします。
時間を止める能力の正体、そして村上さんの本当の気持ち。
それらが明かされ物語が収束へと向かうクライマックスは圧巻です。
女の子同士の物語として、そして同時に1つの青春物語として非常に鮮烈な印象を残す作品です。
最終更新：2014/12/21
