あの娘にキスと白百合を

あらすじ

「清蘭学園生徒の鑑」と評される優等生、白峰あやか。 しかしその実力は、並々ならぬ努力に支えられたものだった。

そんなあやかの前に、ろくに努力もせずに何でもできてしまう天才・黒沢ゆりねが現れる。 あやかはゆりねに激しい対抗意識を燃やすが、どうしても勝つことができない。

あやかの対抗心とは裏腹に、ゆりねはどんどんあやかに懐いてしまう。 そしてある時、ゆりねは突然あやかにキスをした。


みどころ

中高大一貫の女子校「清欄学園」を舞台に、女の子達の恋と友情を描く群像劇。 おおむね1巻ごとにメインとなるキャラクターが替わりますが、 いずれのエピソードにもあやかとゆりねが何らかの形で関わっています。


百合ポイント

あやか×ゆりね

作品を通しての主人公と言えるのが、白峰あやかと黒沢ゆりね。

努力型人間であるあやかは、生来の天才であるゆりねに激しい対抗意識を燃やしています。 しかし、それが高じて次第にゆりねのことばかり考えているような状態に。

そしてゆりねの方は、あやかにライバル視されればされるほど、むしろそれを喜んでいるように見えます。 何でもできてしまう天才ゆえに、実力で正面から自分を打ち負かしてくれそうな人を探していた、ということのようです。 今ではすっかりあやかのことがお気に入り。よくあやかにキスしようとします。

やがてあやかの方でも、ゆりねのことを単なるライバルというだけでなく友人として見るようになっていきます。 誕生日プレゼントを買ったり、お泊りにに行ったりとなんだかんだで結構仲良し?

コミック5巻では、眠っているゆりねにあやかの方からキスしていました。


瑞希×萌

1巻後半のエピソードで主人公になっているのが、陸上部に所属する瑞希と、マネージャーの萌。

瑞希は一般的な高校生としてははかなりの実力の持ち主なのですが、それでも天才であるゆりねにはかないません。 瑞希はゆりねとの勝負を通して自分と向き合い、そして萌との絆を再確認します。

初出時以降は瑞希があやかの友人ポジションでたまに登場する程度だったのですが、4巻にて再びこの2人が主役のエピソードが。 ここでは、瑞希が陸上の大会に集中するため一時的に「萌断ち」する姿が描かれました。 2人はこの時点で3年生ということで、将来を真剣に考える描写が増えていきます。


真夜・愛・千晴・伊澄

第2巻は、天文部の女の子3人(+1人)を中心としたストーリーです。

3年生の真夜は、外部の大学に進むべく勉強中。 ですが真夜と離れたくない1年生の愛は、受験が上手くいかないことを密かに願います。 エスカレーターで清欄の大学に進んでくれれば、ずっと一緒にいられるのだから……。

一方、千春もやはり真夜に対して単なる先輩以上の気持ちを抱いていました。 ずっと抑えていたその気持ちをあるとき爆発させてしまい、ちょっと気まずい雰囲気に。 真夜から逃避するように風紀委員の仕事に精を出すようになった千春は、自転車通学(校則で禁止されている)の常習犯である伊澄とよく顔を合わせるようになり……。

それぞれの思惑が交錯し、物語は結末へと向かっていきます。 避けられない別れを扱ったちょっと切ないストーリーですが、希望のある描かれ方になっています。


雪奈×十和子

3巻の主役は、幼馴染である雪奈と十和子。

2人だけで園芸部をしていた雪奈と十和子ですが、このままでは部の存続の危機。 雪奈は、たまたま通りがかったゆりねを強引に入部させようとします。 ゆりねも意外と悪い気はしないらしく、そのまま部に居つくことに。

しかしあるとき、園芸部に対する何者かの嫌がらせが頻発するようになります。 外部の犯行を疑う雪奈でしたが、ゆりねはもっと近い人物の気配を感じ……。

幼馴染ものであり、ずっと2人きりでいたいという少しだけ重い感情も描かれています。 ですが、雪奈の底抜けにポジティブなキャラクター性で上手く緩和されています。 全体的には、明るく楽しいストーリーです。ゆりねが珍しく積極的に他カップルに介入するのもみどころ。


郁、小萩、もみじ

4巻後半でメインになるのが、郁(かおる)、小萩、もみじの3人。

郁は、クールで完璧(に見えるらしい)ゆりねに昔から憧れていた女の子。 最近ゆりねと仲よさげなあやかに、郁は密かに対抗心を燃やします。 でもゆりねに直接話しかける勇気はなく……。

小萩ともみじは郁の友人で、郁を応援するポジションでの登場です。 この3人の間に明確な恋愛要素は描かれておらず、あくまで微笑ましい友情というイメージ。 ですが女の子同士でキスくらい当たり前な世界観の中では逆に新鮮な印象を与えているかも?


紗和×いつき

5巻の主役。

広報部である紗和といつきは、優等生として有名なあやかを取材しようと企画します。 あるとき、あやかのズル休み疑惑というネタをつかんだ2人は、調査を開始しますが……。

2人は広報部の先輩後輩と思いきや、実は幼馴染でもあったことが後に発覚したり、関係性がめまぐるしく変わるエピソードです。 過去の約束と将来の夢が交錯する、複雑ながらも楽しいストーリーとなっています。


単行本

       

【電子版】 有り


最終更新:2016/10/05

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