熱帯少女

夏を舞台に、少女達の恋を描いた短編集。

収録作は基本的にそれぞれ独立した一話完結のエピソードとなっていますが、
いずれも季節は夏、舞台はのどかな田舎町、
そして親友と恋人の境界で揺れる2人の女の子が主人公・・・
という共通したシチュエーションのもとに描かれています。

明日から夏休みという日、海で遊ぶ２人の女の子。
2人は、お互いのふとした表情に、
単なる親友とはちょっと違う感情を抱き始めます。

転校で離れ離れになってしまう親友2人。
スイカを1つまるごと食べきったら願いがかなうという
ちょっと変わったおまじないに、
恋人になれますようにという願いをかけるのですが・・・。

蒸し暑い日、いつにも増して美帆に「欲情」する章子と、
一線を越えることをなぜか先延ばしにしようとする美帆。
章子の心には不安が募っていきます。

親友の梨香から、自分の絵を描いて欲しいと頼まれた咲。
描きながら梨香を見つめるほどに、
自分の中の特別な感情に気づくのですが、
梨香にはすでに好きな人がいると聞き、気持ちにブレーキをかけてしまいます。

付き合いだして1年が経つのに、
キスより先に進むきっかけをつかめない2人が主人公。
相手を求める気持ちを砂糖に集まる蟻に重ね合わせているのがユニークです。

親友の明美に思い切って告白したものの、
答えも曖昧なまま微妙な雰囲気になってしまった真由。
かなり濃いキスシーンがみどころです。

親友の智子を好きだったことに気づいてしまい、
意識して喋れなくなってしまった理沙。
その気持ちに気づいたきっかけは、ある夢だったのですが・・・。

引越しで離れ離れになってしまう前の最後の夏休み、
考えつくかぎりの夏らしいことを
次々に実行して夏を満喫しようとする２人の女の子のお話。
いろいろ試した後、最後に考えた夏らしいこととは・・・。

「sketch」に恋敵役として登場していた戸川先輩に関するお話です。
「sketch」ではいろいろな女の子に
手を出しているように描かれていた戸川先輩ですが、
実は本命の相手がいて、いろいろな女の子にちょっかいを出していたのは
その子にヤキモチを焼いてもらいたかったという真相が明らかになります。