けいおん!

 作品概要

軽音楽部の女の子達の、ゆるい日常を描いた4コマ漫画。

バンドもの・・・のはずですが、音楽の話よりも日常シーンがメイン。
放課後の部室で練習もせずにのんびりお茶会をするのが日課になっており、
何事にもお気楽で呑気なノリが特徴です。

アニメ化もされており、2度のTVシリーズと劇場版が製作されていますが、
ここでは主に原作漫画版を紹介します。

 主な登場人物

メインとなるのは以下の5人です。

平沢 唯
主人公。ギター担当。
やや天然気味で、音楽も勉強も常にグダグダだがやる時はやる子。
ギター初心者で覚えたこともすぐ忘れるが
持ち前のノリと絶対音感でなんとなく上手くいくことが多い。
秋山 澪(みお)
ベース担当。
一見クールで大人っぽい外見だがとても繊細な心を持っており傷つきやすい。
メンバーの中では比較的常識がありツッコミ担当。
後輩の梓からは唯一まともな先輩として慕われている。
田井中 律
ドラム担当。
一応部長だが、必要な申請を忘れるなど、ろくに務めを果たしていない。
明るく元気な性格だが、いいかげんで大ざっぱなところがある。
琴吹 紬(つむぎ)
キーボード担当。
お金持ちのお嬢様で、
部室のお茶会セットや夏合宿で使われる別荘は紬が提供している。
中野 梓
ギター担当。
2年生編から登場した新入部員で、この時点で唯一の後輩キャラ。
練習にあまり熱心でない先輩達(主に唯)に当初は戸惑っていたが、
だんだん部の雰囲気に順応しつつある。

その他に顧問のさわ子先生や、唯の妹の憂、唯のクラスメイトの和などが
準レギュラー的キャラとして登場します。

 百合ポイント

バンド活動よりも日常風景の描写がメインになっており、
女の子どうしの何気ないやりとりの中にちょくちょく百合っぽいシーンが出てきます。
明確に恋といえるほどの描写は特にないものの、全体的に微笑ましい内容です。

4人のメインキャラのうちの一人である紬(通称ムギ)は
おっとりしたお嬢様キャラなのですが、
どこかちょっとズレたところがあり、
ときおり1人で百合な妄想を繰り広げていることがあります。
女の子どうしの絡みにやたらと敏感で、
ちょっとしたやりとりを見ては瞬時に百合な方向に脳内変換するなど、
かなりの想像力の持ち主といえます。

そんな感じで他キャラをネタに「百合萌え」している場面はよくあるのですが、
紬自身が特定の女の子を好きだという描写は特にないのが惜しいところ。
一応、コスプレした澪(ナース、メイド等)を見て
一人ハァハァしている場面などもありますが・・・。

TVアニメ「けいおん!」キャラクターイメージCDシリーズ 「けいおん!」イメージソング 琴吹紬

澪は本来極度の恥ずかしがり屋で目立つのは苦手のようですが、
バンドを初めて以来ファンが増えてしまい、
校内には生徒会長(もちろん女)をはじめとして熱烈なファン結構いるようです。
以下で述べるように梓にも好かれていますし、女の子にモテるタイプなんでしょうか?

また、物語開始以前から律とは親友(腐れ縁?)だったようで、
律との絡みが非常に多いです。
律に彼氏ができたと聞いたときは(実は狂言でしたが)は、
妙に必死に否定したうえ、律のことが心配とか何とか言って尾行する始末でした。
普段は律に対してそっけない感じを装っていますが、
実際は澪にとっても律はなくてはならない存在なのかも。

TVアニメ「けいおん!」キャラクターイメージCDシリーズ 「けいおん!」イメージソング 秋山澪

2年生編(コミック2巻から)で登場する新入部員の梓は、
生真面目な性格のため最初は軽音部のグダグダぶりに戸惑っていて、
悪気はないにせよ唯に結構キツい言葉を言うこともあります。

ですが唯はなぜか梓のことを非常に気に入っていて、
頻繁に抱きつくなど、過剰なほどのスキンシップを取っています
(ただ、唯はよく他の女の子にも抱きついていますが・・・)。
梓は一応嫌がっている素振りを見せますが、実は照れ隠しな部分もあるようで、
ときどき唯に対してツンデレっぽい一面を見せることがあります。

特に物語終盤、
3年生の卒業が近くなって唯たちがあまり部室に来なくなってからは、
口には出さないものの会えなくて寂しいような様子を見せるようになります。
そして最終回、唯たちが卒業する時には、
梓もついに素直になって子どものように泣きじゃくりながら唯たちの卒業を惜しんでいました。

ちなみに、梓は唯よりも澪を慕っているようで、
2年生編のバレンタインデーのエピソードでは、
澪のためにチョコレートケーキを作ってあげていました。
かなり本格的な出来でしたし、当日までチョコのことを内緒にしていたり、
かなり恥ずかしがってモジモジしていたところを見ると、
もしかして澪が本命・・・?
その後とくにこの方面での進展はなかったのが残念ですが。

TVアニメ「けいおん!」キャラクターイメージCDシリーズ 「けいおん!」イメージソング 中野梓

唯の妹・憂(うい)は、グータラな姉と違ってとてもよくできた子で、
唯の身の回りの世話はほとんど憂がやっている始末です。

かなりのお姉ちゃんっ子で、
言葉の隅々から唯のことが大好きなのが伝わってきます。
例えば、唯に抱きつかれて「あったかくて気持ちいい」、
憂の作った料理をおいしそうに食べる唯を見て「あの顔を見れるだけで幸せ」、
家でゴロゴロしている唯を見て「かわいい」、といった感じです。
バレンタインでは当然のように唯にチョコを贈ります。

また、ライブ直前という大事な時期に風邪を引いてしまった唯を見て、
キスによって風邪を自分にうつせないだろうかと
妄想している場面まであります(さすがに実行しませんが)。

TVアニメ「けいおん!」イメージソング 平沢憂

 けいおん! college

唯たちの高校生活を全4巻で描いて完結した本編に続き、
2012年には唯たちの大学生活を描いた「けいおん! college」が製作されています。

唯たち4人は全員同じ大学に進学しており、さらに今度は同じ寮に住んでいるため、
一体感もこれまで以上です。

大学でも引き続きバンドをやっているのですが、
この大学の軽音部は人気があるようでたくさんの仲間が登場します。

ライバル?恩那組

大学の軽音部メンバーの中でも、
「恩那組(おんなぐみ)」を結成している晶(あきら)、幸、菖蒲は
同じ新入生ということもあってか唯たちと早々に仲良くなり、すっかりレギュラーです。

特に晶は唯に妙に気に入られてしまい、
かつての梓のようにしょっちゅう抱きつかれています。
最初は困っていた晶もだんだん順応してきたような・・・?
ちなみにこの晶ですが、あまり女の子らしくない外見や、
明確に男性に恋している描写があるなど、
「けいおん!」としては色々とこれまでにない要素を持ったキャラです。


この他にも色々な新キャラクターが登場します。
これまでほぼ同じメンバーとしか絡んでこなかった唯たちですが、
環境の変化や新たな出会いを通して、
唯たち自身の新しい面も見えてくる作品です。

 けいおん! highschool

本編後の唯たちをメインにした「けいおん! college」に続き、
同じく本編後の梓たちをメインにした
「けいおん! highschool」という作品も執筆されています。

唯たちの卒業により、梓・憂・そして友達の純の3人となった軽音部。
ここに新入生の菫と奥田さんが加わることで、新生軽音部の活動が始まります。

新部長・梓!

本編では後輩キャラという立ち位置で定着していた梓ですが、
この「けいおん! highschool」では最上級生である3年生となったことで、
後輩たちを引っ張っていく先輩としての面が描かれるようになっています。

後輩たちと上手くコミュニケーションを取ろうと努力した結果、
なんだかかつての唯のような、
スキンシップ過剰気味な先輩になっていってしまうのが微笑ましい感じ。
なんだかんだで唯は梓にとって良い先輩だったんだと気づかされます。

また、憂も本編では妹としての印象が強かったですが、
こちらでは後輩たちから慕われる優しいお姉さんのような側面も見られるなど、
これまでとはまた違った魅力を発見することができます。

わかばガールズ

唯たちの卒業で「放課後ティータイム」の主要メンバーがごっそり抜けてしまったため、
バンドもほとんどゼロからの再出発になっています。
しかも梓以外は楽器初心者ばかりで、
付いたバンド名が「わかばガールズ」(さわ子先生が命名)。

それぞれの担当楽器を決めるために試行錯誤したり、
地道な練習で少しずつ上達していったりと、
本編後半では薄れがちだった音楽ものらしい要素が
ちょくちょく登場するようになっています。

ちなみに梓が歌すごく下手という衝撃の事実が発覚していますが、
特訓によって秋の学園祭には無事(?)ボーカルを務めています。

スミーレ

百合的に注目なのは、新1年名前の斉藤菫・・・通称スミーレ。
名前は日本的ですがオーストリア人です。
なんと紬の家に代々仕える家系で、菫自身も紬の身の回りの世話をしています。
表紙下のキャラクター原案によると「ムギのメイドさん?居候?」。

菫は小さい頃から紬の遊び相手でもあり、
幼い頃は紬のことを「お姉ちゃん」と呼んで慕っていたようです。
現在では人前では「お嬢様」と呼ぶようになっていますが、
今でも興奮すると人前で「お姉ちゃん」と呼んでしまう模様。

また、菫は庶民の文化に憧れる紬に頼まれて
こっそり漫画を買ってきてあげていたことがあり、
紬が恋愛面に関して妙な趣味を持っているのはこれが原因のようです。
幼い頃の紬いわく「女の子どうしなんていうのもあるのね!」

・・・と、百合的には非常に面白そうな設定を持ったキャラなのですが、
現在の紬との絡みはなく、あまり突っ込んだエピソードもありません。
上記の背景事情を軽く説明する程度のあっさりめの描写にとどめられています。
「けいおん! highschool」自体が1巻で完結という尺の都合もあるのでしょうが、
ここはちょっと物足りないというか惜しい感じのところです。

ちなみに菫は同じく新1年生の奥田さんとの絡みも面白く、
タイプが違う2人ながらもちょっとずつ仲良くなっていく様子は
微笑ましいものがあります。
特に印象的なのは菫が奥田さんの家にお泊りするエピソード。


上級生となった梓たちの新たな側面が見れるのに加え、
新キャラクターも魅力的なので、本編のファンならぜひ読んでほしい作品です。

けいおん!  highschool (まんがタイムKRコミックス)


最終更新:2012/11/2
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