作品概要 |
小学校教師の那珂川湊は、教え子の松田乙女と同棲中。
乙女はかつて複雑な家庭環境が原因で不登校となっており、
見かねた湊が自分の部屋に連れてきたのだ。
まるで夫婦のような生活を続けるうち、
2人は単なる教師と教え子ではなく恋人として惹かれあうようになる。
そしていつか結ばれる日を夢見ながら、現実の様々な問題を乗り越えていく。
みどころ |
百合アンソロジー「つぼみ」の最初期から末期まで連載されていた、
同誌ではかなりの長期連載といえる作品です。
教師と教え子という一見ドラマチックなシチュエーションながらも、
所々にリアルな設定や所帯じみた描写が入り、良い味を出しています。
年の差や同性ゆえの問題の乗り越え方も比較的現実的です。
ちなみに最初小学生だった乙女ですが、
ストーリーの進行に合わせて成長していき、最終話では25歳。
作中時間として軽く10年以上経過していることになります。
一方で湊先生の外見はあんまり変わらなかったりもします。
百合ポイント |
メインは湊先生と乙女の同棲生活。
2人の関係はなかなか面白く、
教師としてはともかく人間としてはだらしない湊先生と、
年のわりに非常にしっかりした乙女は、
たまにどっちが保護者なのかわからなくなるほどです。
もちろんただ同棲しているというだけではなく、
乙女はかなり早い段階から明確に湊先生に恋しています。
湊先生もほぼ同様なので恋人同士と言っても過言ではないと思うのですが、
積極的な乙女に対して湊先生は大人であるためギリギリのところで自重しがち。
そのため恋人としての最後の一線はなかなか越えません。
中盤になるとサブキャラ関係の話が増えてくることもあって
湊先生と乙女の関係はちょっと足踏み気味になることも。
ですが、終盤に訪れた危機をきっかけとして、
2人の関係はついに大きく踏み出します。
最後は不安要素を完全に払拭して文句なしのハッピーエンドです。
それまでの過程も含め、
同性カップルの在り方として1つの現実的な答えを出していると思います。
なお最終話は単行本化にあたって非常に重要なシーンが追加されているため、
ぜひ単行本で読むことをおすすめします(今から連載版を読む人もいないでしょうが…)。
その他 |
湊先生と乙女の他にも女の子同士の恋が描かれることがあります。
櫻
コミック2巻あたりで乙女が塾に通う展開があるのですが、
講師のかなえ先生に対して、生徒の櫻という女の子が恋しています。
櫻は成績は問題ないため、塾に通っているのは完全にかなえ先生目当て。
ただ、かなえ先生のほうは櫻をそういう目では見ていないようで、
櫻がついに告白した際もはっきりと断っています。
しかもそこで2人の出番はほぼ終わってしまうため、
ともするとちょっと切ない結末にも思えます。
もっとも、櫻があきらめたという描写もないので、
その後描かれていないところで思いが通じたと想像することもできるのが救いかも。
日名さん
また、コミック3巻の冒頭あたりで湊先生と乙女が
古本屋の2階にある部屋に引っ越すのですが、
1階の古本屋でバイトしている日名さんという女の子が乙女に恋してしまいます。
日名さんはある時思い切って乙女に告白するのですが、
この頃になると乙女と湊先生の絆は相当強くなっているので、
当然ながら日名さんはフラれてしまいます。
ですが、日名さんはあきらめ切れずに(あるいはあきらめるために)、
あるネタで乙女を脅迫(?)して裸の写真を撮ったり体を触ったりと
かなり暴走気味の行動に出ます。
そんな感じでかなり大変なことになってしまうのですが、
意外にも乙女はこの後も特に日名さんを避ける様子もなく、
その後も2人は良い友達でいられたようです。
日名さんも本質的には悪い子ではありませんし、
乙女も自分を好きと言ってもらえて悪い気はしなかったのかもしれません。
最終更新:2013/2/26