飴色紅茶館歓談

 あらすじ

ここは、閑静な街の一角にひっそりとある喫茶店、飴色紅茶館。
ちょっとおっとりした店主・芹穂と、
芹穂を支えるしっかり者のアルバイト・さらさ。
そんな2人で経営しているこのお店では、
今日も紅茶とともにゆるやかな時間が流れる。

 百合ポイント

女の子達の甘いやりとりとゆるやかな雰囲気が特徴的な作品です。
ほとんどの場面が芹穂とさらさのイチャイチャで構成されており、
常に甘い雰囲気が漂っています。

琴織さらさ

まず印象的なのは、さらさの芹穂への想いの強さです。

もともとこのお店は芹穂が一人で経営していたのですが、
さらさは偶然このお店を見つけ、常連のお客さんになります。
芹穂の人柄に強く惹かれたさらさは、
やがて自分が芹穂を傍で支えたいという思うようになり、
その後はアルバイトとして一緒にお店を運営していくことになります。
それからのさらさにとっては、芹穂と飴色紅茶館は何事にも優先する存在です。

さらさは、基本的にはクールなしっかり者で、
紅茶以外のことには疎い芹穂を的確にサポートしているのですが、
芹穂のことになるとかなり情熱的で、
他のことは目に入らなくなってしまいます。
最終的には高校卒業後の進路まで芹穂のために決めてしまうほどです。

また、旅行等でちょっと芹穂に会えない日があると、
すぐホームシック的な症状になってしまいます。
ハタから見ても明らかに恋心で、さらさ自身もそのことを自覚しているので、
よく友達からからかわれています。

犬飼芹穂

一方芹穂のほうも、さらさのことをとても大切な存在だと思っています。
ただ、元々ちょっとおっとり気味というか天然なところがあって、
自分の気持ちが恋だと自覚するまでにちょっと時間がかかっています。

ですがさらさに対する愛情は言動のひとつひとつに無意識に表れているので、
そんな芹穂の言動にさらさはいつもドキドキしっぱなしです。
特にあるエピソードでは、「50年後も隣にいてね」という
ほとんどプロポーズにしか聞こえない約束をさらさと交わしています。
ちなみに芹穂はこの時点でもまだ自分が恋をしていることに気づいていません。
ある意味、すごい天然ぶりですね・・・。

そんな芹穂でしたが、ストーリー後半ではついに
自分がさらさに恋をしていることを自覚します。
そして意を決して、「そういう意味」だという指輪をさらさにプレゼントするのですが・・・
さらさの答えは最終回で明かされます。

 ドラマCD

ドラマCDがいくつか製作されており、
百合姫Vol.16の付録として「pink princess」、
コミック第1巻限定版特典として「White engage」、
そして第2巻限定版では「Blue christmas」が製作されました。
いずれも、漫画本編には登場しないオリジナルキャラを中心としたストーリーとなっています。

pink princess

人気漫画家の愛華と、
愛華の担当編集者である詩子が飴色紅茶館にやって来るお話です。

愛華が描いているのは百合漫画という設定で、
そして詩子はそんな愛華の漫画が大好き。
この2人がメインのオリジナルストーリーですが、芹穂たちの紅茶が
ちょっとぎこちなかった愛華と詩子の仲を進展させるきっかけなっているのが
「飴色紅茶館」らしい部分になっています。

White engage

「pink princess」の続きのお話です。
愛華はすっかり飴色紅茶館の常連になり、
詩子との仲もかなり進展しているようです。
途中、あるきっかけで2人は喧嘩をしてしまいますが、
最終的にはそれを乗り越え、お互いの気持ちを告白しあって
晴れて結ばれることになります。

最終的にはなんと同棲するまでになっていて、
ドラマCDのオリジナルキャラなのに
この時点の漫画本編の主役2人よりずっと進んでいます。
2人の恋のサポート役だったはずのさらさが
逆に愛華に「あんたたちも結婚しちゃえばいいと思う」と背中を押されてしまう始末です。

Blue christmas

飴色紅茶館がこっそり愛華の漫画のモデルにされていたため、
お店は「聖地」巡礼のお客さんで大忙しになってしまいます。
飴色紅茶館の情報をネットに書いて広めてしまったことに
責任を感じた常連の咲雪(さゆき)と、
お店で偶然咲雪と意気投合した珠李(しゅり)は、
しばらくここでアルバイトをすることになります。

元々人懐っこい珠李と、照れ屋で意地っ張りだけど根は純粋な咲雪は、
アルバイトを通してどんどん仲良くなっていきます。
アルバイト期間が終わってしばらく会えなくなってしまった時には、
咲雪は泣きながら珠李を引き止めており、珠李もその気持ちに応えています。
最終的には春から一緒に住む約束まで・・・。

ちなみにこの2人、周囲から見てもかなりの関係だったようで、
愛華に言わせると「すっごい百合臭」だったそうです。
あの天然の芹穂まで2人の仲に感づいています。
でもなぜかさらさだけ気づいてなかったり。

豪華声優陣

ちなみにこのドラマCD、出演声優がかなり豪華です。

琴織さらさ:水樹奈々
犬飼芹穂:ゆかな
早乙女愛華:田村ゆかり
南城詩子:堀江由衣
小熊珠李:寿美菜子
鷲塚咲雪:悠木碧
獅子尾ハル:浅川悠
白鳥日乃夏:こやまきみこ

ラジオでよく百合っぽいトークをしている声優さんだったり、
作者の藤枝さんがファンの声優さんだったりと、
作者の趣味が強く反映されたキャスト陣になっています。
ドラマの後に収録されている声優さん達のフリートークがある意味聴きどころ。

 乙女色 Stay Tune

ところでこの「飴色紅茶館歓談」ですが、雑誌連載時は休載が多く、
たまにちゃんと掲載されてもページが極端に少ないなど、
なかなかまとまった量になりませんでした。
そんなわけでこの作品だけでは単行本のページが埋まらなかったようで、
第2巻の後半には「乙女色 Stay Tune」という別の作品が収録されています。

こちらの作品は百合姫Sで連載されていた物ですが、
これも休載が多く、いつの間にか存在自体が消えていました。
今回初めて単行本に収録されたことになります。

声優百合漫画

声優業界を舞台にしており、登場人物のほとんどは女性声優かその関係者です。
主人公は人気声優の日南子(ひなこ)と、後輩の有世(ありせ)。
日南子はかなりの女の子好きで、
これまでもかなりの数の声優に手を出してきたらしいのですが、
おっとりした不思議な雰囲気の有世にはペースを狂わされっぱなしです。

有世が日南子に恋愛的な意味に取れる発言をしているものの、
その真意はよくわからないまま連載は終わっていたのですが、
単行本収録にあたって1ページですが後日談が追加されています。
それによると、有世は本気で日南子に恋していて、
その後2人は付き合うことになってほぼ同棲状態とのこと。

そのへんの流れをもうちょっと膨らませて
連載を続けてくれていれば面白くなったかもしれないのですが、
いろいろと惜しい作品だったと思います。

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