あきそら

 あらすじ

成績優秀・才色兼備・スポーツ万能で皆の憧れなアキを姉に持つ、弟のソラ。
いつしかお互いに姉弟以上の感情を抱いていたソラとアキは、
ある夜、ついに一線を越えてしまう。

ソラはその後も様々な女の子との出会いを経験する中で、
自分とアキのしていることは本当にいけないことなのか、悩みながらも関係を続けていく。

 みどころ

実の姉弟の禁断の愛を描いた問題作。
ほぼ毎回、ソラと女の子との結構過激なエッチシーンが入っており、
少年誌の限界に挑戦しています
(もっとも掲載誌の「チャンピオンRED いちご」の漫画はだいたいそんな感じですが…)。

一応、エロ要素ばかりというわけではなく、
メインテーマである近親相姦や家族に関してはシリアスな展開を見せることもあります。

 百合ポイント

基本的にはソラとアキの禁断の恋がストーリーのメインで、
その他のヒロインもたいていソラに恋心を抱いているのですが、
ソラの双子の妹・ナミに関係して百合的に注目すべき描写があります。

ナミと可奈

ナミは親友である可奈に密かに恋心を抱いています。
ですが、その可奈はソラに片思い中なのでナミは複雑な心境です。

ナミは双子ゆえのソラそっくりな容姿を利用して、
予行演習と称して可奈とキスしようとするなど、
さりげなく自分に気を引こうとしてみるのですが、
けっきょく可奈が自分を親友としてしか見てないないことに気づいてしまいます。

そして、ナミは可奈とソラの関係を応援するような行動に出るようになります。
同性である自分では可奈を幸せにできないと考えたうえでの、
可奈のことを思っての行動だったのですが、
自分の本当の気持ちを押し殺しての恋の手助けは、
やがてナミを精神的に追い詰めていきます。

ソラと可奈が一線を超えた関係になったと知ると、
ナミは女の自分が可奈と恋人になれないのは「それ」がないからだと思い込み、
ソラの「それ」を切り取ろうとするなど、かなり病んだ行動に出ます。
さらにはソラを押し倒して(ナミいわく「可奈の残り香を追うように」)、
ソラと体を重ねるようになっていきます。

伝わる想い

このように自暴自棄な行動もあって、
ナミには破滅的な未来しかないかのように思われましたが、
ストーリーが後半に向かうにつれて意外な展開が訪れます。

可奈はナミの気も知らずにソラと順調に親密になっていくのですが、
求め合う中で、お互いにある違和感に気づくことになります。
その違和感の原因は、実は可奈はソラの中にナミを見ていた・・・ということです。

もともと、可奈とナミが親友になったきっかけは、
可奈が男性に強引に迫られていたところをナミが助けたことでした。
それ以来可奈は、気弱な自分とは違う強さを持ったナミにずっと憧れていました。
ソラに惹かれていたのは、ナミとまったく同じ容姿でありながら
男性であるために恋人になれる・・・
つまりはソラを無意識にナミの代わりとして見ていたようなのです。

自分が本当はナミを求めていたことに気づいた可奈は、
晴れてナミと結ばれることになります。
かなりの遠回りをしましたが、最後にお互いの本当の気持ちに素直になれたようです。

可奈とナミに関してはこれでハッピーエンドということなのか、
この後2人はあまり出番がなくなるのが残念ですが、
最終話では2人仲良くキスをしている場面があるので上手くいっているようです。


このように最終的に2人が結ばれたのは良いのですが、
百合目当てでこの作品を読む場合、
途中の迷走(可奈だけでなくナミまでソラと肉体関係を持つ等)が
ちょっと気になるかもしれません。
また、ナミと可奈が無意識にお互いに好意を持ちながらも
ここまで遠回りした理由として同性ゆえの障害が何度も語られているのですが、
結局そのあたりをどう乗り越えたのかは特に語られず、少し物足りない感じもします。

可奈がソラの中にナミを見ていたという設定も、
ストーリー後半になって語られだしたことで、前半ではあまりそれらしい描写はありません。
一応、可奈がナミに憧れているという描写自体は序盤からあるのですが、
その時点では恋愛的な意味には読み取れず、
作者は最初からそういうつもりだったのか、それとも途中からそういうことにしたのか、
正直ちょっと判断がつきにくいところです。

あきそら 3 (チャンピオンREDコミックス)

 OVA版

コミック第3巻限定版付属のDVDとしてアニメが製作され、
続いて上下巻のOVAが製作されています。

コミック第3巻限定版付属OVA

コミック第3巻限定版付属のOVAでは、
原作序盤のソラとアキが一線を越えるまでのエピソードを
多少アレンジしつつ描いています。

ナミと可奈の出番は少なめですが、
百合的には、ナミが可奈を押し倒して服を脱がせる場面が注目かも?
可奈は冗談として受け取ったようですがナミはちょっとだけ本気にも見えます。

ちなみにキャストですが、アキ役が河原木志穂さん(ブラコンで有名)だったり、
ナミ役が植田佳奈さん(よく百合アニメに出ている)だったりと、
ある意味非常にわかっている配役がされています。
おまけとしてキャストトークが収録されているのですが、
なぜか本編そっちのけで百合の話題で盛り上がっており
ナミと可奈主役の番外編「なみかな」を希望する声があがっています。

OVA「あきそら 〜夢の中〜」

2010年に発売された全2巻のOVA。

上巻は、ソラがアキと肉体関係を持つようになった少し後のお話。
ナミと可奈にもちょくちょく出番があり、
ナミは可奈のソラへの恋を応援するような行動をとっています。
キスの予行演習と称して自分とキスさせるシーンもあり。

下巻は待望の、ナミと可奈メインの回。
ナミは、自分の可奈への気持ちを押し殺しつつ、
可奈とソラの恋を積極的に応援しますが、
実際に2人が接近するのを見るにつれ精神的に追いつめられていきます。

この回では、なんとナミと可奈のエッチシーンがあります。
もちろん夢オチなうえ、願望の表れかナミに「それ」が生えているようなので
百合的には素直に喜べない感じですが・・・。

ちなみにキャストは単行本付属版から全面的に変わっています。
以前のキャストのみなさんは待望の「なみかな」回に立ち会えなくて残念かも?


最終更新:2011/07/09
inserted by FC2 system