第9話「この願いはかないますか?」 |
その日はずむは夢を見た。
それは、幼い頃母親に連れられてお祭に行った日の記憶。
それははずむにとって悲しい思い出だった。
しかしなぜ悲しかったのか、ハッキリとは思い出せない。
そして今年も鹿島神社のお祭の季節がやって来た。
はずむ達は、みんなでお祭に行く約束をする。そして夕方。
みんなは浴衣姿で集まった。
とまりは浴衣を持っていなかったようで、やす菜から浴衣を借りていた。
肝試しの頃から、2人の間には一種の友情が芽生えつつあるようだった。
はずむ達は屋台を回って遊ぶ。
そんな時、綿菓子の屋台がはずむの目に入った。
そこで売られている白とピンクのわたがしを見たとき、
また例の悲しい夢の記憶が、はずむの頭に蘇り始める。
その時、やす菜がりんごあめ、とまりがたこ焼きをはずむの前に持ってくる。
はずむはどちらからもらおうか迷ううちに、頭の中が混乱する。
そしてはずむは突然二人の前から逃げ出してしまう。
2人から逃げ出したはずむは、神社の外れの林の中にいた。
はずむはそこで、例の夢の内容をハッキリと思い出す。
それは幼い日、母親に連れられてお祭にやって来た時のこと。
綿菓子屋の前で、どの色にしようか迷っている間に雨が降ってきて、
結局どっちも買ってもらえなかったのだ。
幼い日のはずむにとっては、それがとても悲しかった。
はずむは自分が小さい頃からずっと優柔不断だったことを改めて自覚する。
どちらとも選べずに迷っているうちに、
本当に欲しいものはいつのまにか自分の手に届かない所に行ってしまう。
このままでは、とまりとやす菜のこともそれと同じになってしまうのではないか。
そうなる前に、どちらかを選ばなくてはならないのではないか。
はずむはそう自覚し始める。
そして、それはとても悲しかった。
はずむを心配したやす菜ととまりは、
影からそんなはずむの様子をこっそりと見ていた。
二人は、密かに約束をする。
はずむをこれ以上苦しめないように、しばらくは今のままの関係でいようと。
しばらくして戻ってきたはずむに、
やす菜はピンクの、とまりは白の綿菓子をあげる。
はずむが迷ったり悲しんだりしないように、両方とも食べていいよということらしい。
はずむは喜んで両方から少しずつ食べる。
やがて花火大会が始まった。
それを眺めながらはずむは思う。
ずるくてわがままな自分だけど、あともう少しでいいから、このまま三人でいたい・・・。
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みどころ |
はずむが自分の優柔不断さに悩む話です。
はずむに感情移入できる人とイラっとする人に分かれそうな気がします。
主人公がある程度優柔不断でないと三角関係のストーリーは成立しないので、
仕方ないと言えば仕方ないのですが・・・。
どうでもいいですが、
一緒にお祭に行くはずだったのに忘れられてた明日太がかわいそうですね。
まぁ、どうでもいいですが。
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次回予告(担当:とまり) |
楽しかった。
うれしかった。
幸せだった。
あの時、二人を見るまでは・・・。
次回、かしまし
〜ガール・ミーツ・ガール〜
「小さな嵐」
想い、胸の中で。
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第10話「小さな嵐」 |
ひょんなことから水族館のチケットを手に入れたはずむは、
みんなを一緒に行こうと誘う。
しかしみんな用事があるらしく、行けそうなのははずむとやす菜だけだった。
とまりも陸上部の合宿があるようだ。
やす菜はとまりに気を遣うが、とまりは気にせず2人で行って来いと言ってくれた。
結局、水族館にははずむとやす菜でやって来た。
そして2人はいろいろな魚を見たり、ショーを見たり、水族館を思いっきり楽しんだ。
水族館を出るとき、
やす菜は御土産をとまりの合宿所に持っていってあげようと提案する。
はずむも賛成し、2人は内緒でとまりのもとへ向かう。
しかし、実は2人は道をよく知らなかった。
駅に着いたところまではよかったのだが、その後の道がわからない。
はずむは仕方なく合宿所に電話して、とまりに駅まで迎えに来てと頼む。
一方、はずむが電話している間に駅員の男性がやす菜の近くにやってきていた。
ごく普通の駅員なのだが、男性が苦手なやす菜は取り乱し泣き出してしまう。
それに気付いたはずむは、慌ててやす菜のもとに駆けつけ、
やす菜を抱きしめて落ち着かせるのだった。
そうこうしているうちに、、とまりが駅に着いてしまった。
とまりは2人が抱き合っているのを見て、
やす菜に抜け駆けをされたと誤解してしまう。
とまりは何も見なかったフリをして、はずむとやす菜を合宿所に案内する。
ここは田舎だから帰りの電車がもうないらしく、
はずむととまりはそのまま合宿所に泊めてもらうことになった。
夜、とまりははずむをこっそり連れ出して散歩に誘う。
やす菜に抜け駆けされたと誤解しているとまりは、内心焦っていた。
とまりははずむへ自分の気持ちを語り始める。
何度も諦めようとしたけど、
やっぱり負けたくない―――そう言ってとまりははずむにキスをする。
一方、やす菜は部屋にずむがいないのに気付き、後を追ってきていた。
そこでやす菜は、2人のキスを目撃してしまう。
やす菜はとまりの裏切りにショックを受ける。
「信じていたのに・・・ 嘘つき!」
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みどころ |
わりと平和な話が続いていましたが、
このあたりから急展開です。
誤解が重なり、お互いに裏切られたと思ってしまったやす菜ととまり。
ストーリーはラスト2話に向け盛り上がりを見せます。ちなみにここは、漫画版とアニメ版の分岐点でもあります。
漫画版ではやす菜達がとまりの合宿所を訪れる展開は無く、
その後もしばらくは平和な話が続きます。
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次回予告(担当:やす菜) |
すべてを失い、すべてが消え・・・残ったのは、絶望。
次回、かしまし
〜ガール・ミーツ・ガール〜「やす菜の瞳から消えたもの」
想い、胸の中で。
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