神無月の巫女 〜千歌音ちゃん、私どうしたらいいのかな〜

第一話 『常世の国』

物語の導入部ということで、
姫子と千歌音が仲の良い親友どうしであり
特に千歌音にとって姫子が特別な存在であることが描かれています。

階段から落ちそうになった姫子を
抱き止めて助ける千歌音の登場シーンはまるで王子様のようです。
姫子のピンチに馬でかけつけたり、
ロボットに弓矢で攻撃したりするのにはちょっと笑ってしまいますが。
なお、この回だけ見るとわかりづらいですが
千歌音と姫子はこのエピソードで初対面というわけではなく、
2人の出会いは後の回で詳しく語られます。

後半、ソウマがロボットに乗って熱血バトルをしてるのを尻目に、
そんなの眼中に入らないとばかりに姫子(気絶中)にキスをしている千歌音が印象的。
ロボットバトルと百合ワールドのギャップが凄いことになっていますが、
この作品は今後もだいたいこんな感じです。

それと姫子の親友のマコちゃんは
親友という立場を利用して姫子となにかとイチャイチャしています。
ひょっとして姫子のことが好きなのかも?

第二話 『重なる日月』

ソウマに助けられる姫子を見て、
千歌音は自分の無力さを悔しく感じています。

マコちゃんは姫子のせい(とも言い切れないんですが)で怪我をしてしまい、
姫子とマコちゃんはちょっとギクシャクした関係になってしまっています。
親友という心の支えを失った姫子にとって、
千歌音が新たな心の支えとなっていきます。

第三話『秘恋貝』

学園の寮が壊れてしまったため、姫子は千歌音の屋敷に世話になることになります。
一緒にお風呂に入ってなぜかドキドキしてしまうシーンは、
姫子のほうも千歌音に無自覚ながらも特別な感情を持っていることを伺わせます。
服を貸してもらって「千歌音ちゃんのにおいがする」言うあたりもちょっと良い感じ。

千歌音と仲の良い姫子を見て、
千歌音の屋敷のメイド長である乙羽さんが激しく嫉妬しているのが笑えます。
乙羽さんは今後もちょくちょくこういう描写がありますが、
千歌音は姫子しか眼中にないので振り向いてもらえないのが残念。

あと貝合わせの話が出てきますが
このアニメで言うとなんか変な意味のほうをイメージしてしまいます。

第四話『思い賜うや』

ソウマからデートを申し込まれ迷っている姫子を、
千歌音は姫子の笑顔のためと思って後押ししますが、
送り出した後でつらい気持ちになってしまいます。
このあたりから、千歌音が自分の気持ちを押し殺して
姫子とソウマとの仲を後押ししては
かえって切なくなってしまうという描写が増えていきます。
特に千歌音が部屋で一人、姫子の制服を抱きしめる姿は切ないです。

第五話『夜闇を越えて』

次々に起こる不幸を自分のせいだと思い込み
自分を責めてしまう姫子が、
優しくしてくれる千歌音に抱きつく場面があります。

全体的には、ソウマをオロチに引き入れようとするツバサ兄さんの
ブラコンぶりの目立つ回です。もはやちょっとしたBLの域。

第5.5話『君の舞う舞台』

アニメの第5話と6話の中間に位置する、
ドラマCDのオリジナルエピソード。学園祭のお話です。

千歌音とソウマは劇で恋人役を演じることになるのですが、
千歌音は家で姫子を相手に練習を行います。
恋人どうしの演技をしているうちに、
まるで本当の恋人のような気分になってきて
お互いにドキドキしてしまっているのが微笑ましいです。

また、オロチ衆の中でもアニメでやや出番の少なかった、
コロナ・レーコ・ネココがストーリー上大きく扱われているのが特徴です。
特に、コロナの売れないアイドルとしての苦労と苛立ちや、
人気漫画家ゆえの鬱屈した悩みを抱えるレーコの姿が強調して描かれています。

百合的には、上記の劇の練習のシーンと、
コロナの作り出した偽物の姫子を
千歌音が即座に見破るところがみどころでしょうか。

ストーリー本編以外にもミニコーナーが充実していて、
特に「愛のオロチ懺悔室 」のコーナーが面白いです。
懺悔室というより、いろんなキャラクターが次々に部屋を訪れては
自分の言いたいことだけ言って帰っていくという内容で、
乙羽さんが姫子に対する嫉妬と鬱憤をすごい勢いで吐き出していくのが面白いです。
それとただノロケ話だけして去っていく姫子と千歌音も笑えます。

また、アニメ本編でも姫子が愛読していた漫画
「私のブレーメンラヴ」に関するショートストーリーも収録されており、
この漫画が百合な内容であったことが判明します。
ただ、作者であるレーコ自身は現在の乙女チックでファンタジーな内容よりも、
もっとハードで残酷なストーリーを描きたいようです。
なまじ人気があるために好きなように描かせてもらえずストレスを感じている模様。
オロチは皆人間に対する負の感情を抱いていますが、
レーコの場合はこれが人間に対する憎しみの原因になっているようです。

神無月の巫女 ドラマCD

第六話『日溜まりの君』

千歌音の姫子への想いにスポットを当てたエピソード。
姫子と一緒に料理をしたり、
玉子焼きをあーんしてもらってドキドキしている千歌音が可愛いです。

姫子との出会いを回想する場面もあり、
その時の姫子を「私を包んでくれる光」
「生まれて初めて感じるやすらぎ」と形容しています。
千歌音にとって姫子が相当特別な存在であることが伺えます。

一方、姫子は最近ますますソウマといい感じで、
千歌音にソウマとの仲のことを相談する場面もあります。
この無邪気さというか鈍さはちょっともどかしいです。

第七話『恋獄に降る雨』

ソウマと姫子が最高潮に甘酸っぱい雰囲気です。
今回ついにキスまでしてしまいます。

一方、千歌音はオロチの一人・ミヤコの幻術により、
報われない恋心に付けこまれそうになります。
このくだりはかなりねちっこい感じでいやらしく描かれています。

ミヤコは最終的には姫子の幻を見せて
千歌音に道を踏み外させようとするのですが、
千歌音がまやかしを打ち破る時の「こんなの姫子じゃない。私の姫子じゃない!」
という台詞がさすがという感じ。

第八話『銀月の嵐』

千歌音の様子がおかしいのを心配した姫子は、
プレゼントを買って元気付けようとしますが・・・
そこで待っていたのは、報われない恋心に耐え切れなくなり、
自分の欲望に身を任せた千歌音でした。
千歌音は「ままごとはもうたくさん」と姫子の唇を強引に奪い、
さらには押し倒して・・・。

百合的にもストーリー的にも転機となる衝撃的なエピソードだと思います。
千歌音の真意は後のエピソードで明らかになりますが、
これまでの報われない想いが爆発してしまったようにも見えます。

また、乙羽さんが千歌音への想いを語るシーンもあります。

第九話『黄泉比良坂へ』

千歌音の突然の豹変にショックを受けた姫子ですが、
なぜか心は姿を消した千歌音の影を追い求めます。
千歌音はいつかきっと帰ってくると信じきって
お弁当を作ったりいつもの待ち合わせの場所に行ってみたりしているのが健気。

また、今回久しぶりにマコちゃん再登場しています。
姫子の詳しい事情を知るはずもありませんが、
姫子に何かつらいことがあったのを察したのか、
姫子を元気付けてくれます。

ちなみにアニメからはハッキリとはわかりませんが、
原作者である介錯さんの同人誌には
実はマコちゃんも姫子のことが好きだったという漫画が載っていました。

第十話『愛と死の招待状』

姫子は千歌音が抜けた分を埋めるべく今まで以上に
巫女の儀式を熱心に続けますが、
今でも千歌音のことを想い続けています。

そんなある夜、姫子は誰もいなくなったはずの屋敷で
千歌音と思わぬ再会を果たします。
まるで何もなかったかのように優しく語りかけてくれる千歌音に、
姫子は何かがおかしいと思いつつも、
以前と何も変わらない夢のように甘い時間に身を委ねます。
夜、照れながら千歌音の部屋にやってきて
一緒に寝たいと言いだす姫子が可愛いです。

しかし次の朝、千歌音は態度を急変させ、
冷たい表情で今夜姫子を殺すと予告して去っていくのでした・・・。

第十一話『剣の舞踏会』

ソウマの駆る剣神天群雲剣とオロチとの最終決戦の中、
姫子は千歌音によって月の社に招かれます。

自分と姫子の邪魔ばかりする世界など
滅んでしまえばいいと言い放つ千歌音と、
そんなことが千歌音の本心のはずがないと訴える姫子。
千歌音は姫子の言葉に耳を貸さず、姫子に剣を向けます。
求め合えば求め合うほど傷付けあうのが巫女の運命だと。

姫子に向かって剣を向けながら、
姫子の好きな部分を一つ一つ語っていく千歌音が印象的・・・というかちょっと怖いです。
姫子の瞳、髪、唇、声、体、心・・・。

姫子は千歌音の攻撃を賢明に防ぎつつ説得を続けますが、
追いつめられた姫子は、咄嗟に千歌音を斬りつけてしまいます。

最終話『神無月の巫女』

千歌音は姫子の腕の中で、
前世の秘密と巫女の運命を語り始めます。

オロチを封印し世界を救うためには、
2人の巫女のうち1人が命を捨て、
その命との引きかえで世界を再生させなければなりません。
前世では、日の巫女が自らを月の巫女に殺させたのだといいます。

これまで千歌音が姫子を傷付け、オロチとなり、
姫子に自分を憎ませようとしていたのは、
今度は自分を日の巫女の手で殺させるためでした。

前世の秘密と千歌音の愛を知った姫子は、
これまで言えなかった千歌音への愛を告白します。
千歌音も、姫子に対して秘めていた想いをすべて打ち明けます。

姫子の告白を聞いてもなお、
自分の行いを責め続け、自分には愛される資格が無いという千歌音に、
姫子は千歌音の唇をキスでふさいで自分の愛を証明します。
一方、子供のように泣きじゃくって抱きつく千歌音。
これまでの印象とはちょっと変わった二人の関係が印象的です。
とにかく、これまで胸に秘めていたお互いの想いを
一つ残らず伝えあっていて、これ以上ないほどに強い愛を感じさせるシーンです。

最後は、千歌音が自らの命と引き換えに世界を再生させることを選択するため、
2人は愛し合いながらも離れ離れになってしまいます。
ですがエピローグでは、世界が以前とは少し違う世界で再生されたのか、
それとも輪廻を重ねて再びめぐり逢ったのか、
姫子と千歌音が再び出会い恋に落ちることが示唆されています。

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